TCEYの由来(4人のソウルメイトたち)

Tony

アトランタで過ごした5年間は、私の人生を変えた5年間でした。 瞑想に出会い、レイキに出会い、アロマテラピーやリフレクソロジー、クリスタルヒーリング、エンジェルヒーリングなどのヒーリングワークに出会いました。 帰国直前に興味半分で受けた Past Life Regression Therapy (前世療法)で、また、私は大きな衝撃を受けることになります。 そして、その効果の絶大さに感激し、帰国まで秒読み段階のときに、通い詰めて学んでくることになりました。

Past Life Regression Therapy (前世療法)のセッションが始まって私を襲ったのは、言いようもない悲しみでした。 怒涛のように押し寄せてくる悲しみに戸惑っていました。 遠くに十字架にかけられている自分の姿が見えました。 周りには群集が取り囲んで処刑される私を見ています。 「誰があなたをその状況に追いやりましたか?」というセラピストの質問に、その答えを知っている自分に驚き、また、その答えがあまりに意外な人だったことに動揺していました。 「うそ、信じられない…」「なぜ?」と、思わずつぶやいていました。 もう一度、「誰ですか?」と聞かれて、「Tony ・・・」と涙声で答えました。

Tony というのは私の英語の先生で、私の生き方、考え方を変えた人です。 いつも明るくて、豪快で、「人生は楽しむものだよ」と教えてくれた人でした。 それまで、人に良く評価されるために、小さな自分を隠すために、周りを気にしながら生きてきた私に「Enjoy」という言葉を教えてくれた人でした。

Tony は、他の国から移民してきた人々に英語を教える学校の先生で、生徒にはいろいろな国の人々がいました。 ベトナムやカンボジアの難民や共産圏の国から来た人たちや、アフリカ、中近東、南米、ヨーロッパ、アジア・・・まるで、小さな世界がそこにありました。 貧しい人が多かったのですが、自由の国アメリカに来た希望に満ち溢れ、生活のために必死で生きている姿と、一日も早く英語を身につけ、アメリカに根付こうという活気がありました。

無料の公立学校の教師である Tony は、決して裕福な暮らしはしていませんでしたが、三度目の奥さんといつも見つめ合って、幸せそうに笑って暮らしていました。 誰がどう思おうとも自分の信じた道を突っ走る人で、彼の英語の授業は独特でした。 テープレコーダーを持ってきて、一日中ビートルズの歌を歌っている日があるかと思うと、新聞を持ってきて株式市場の話をしている日もありました。 他のクラスの先生の中には Tony の教え方に眉をひそめる先生もいましたが、彼は全く気にすることなく、「今日も、たくさんのことを学んだね」と授業の終わりに笑って私たちを送り出してくれました。

あくの強い先生だったので、生徒の評判は両極端でした。 「Some students like me, some students hate me」(自分を好きな生徒もいるし、嫌ってる生徒もいる、それで良いのさ)と笑っていました。 この Tony の生き方は、人の目ばかり気にして良い子であろうとして生きてきた私に大きな衝撃を与えました。 「自分のために、自分の思うように生きていいのだ」・・・これは、私にとって大きな気づきでした。 今まで大切にしていたものがくすんで見えました。 物質的な裕福ではなく、心の豊かさこそが幸せに基盤なのだと気がつきました。

Tony との出会いは、私にとって人生観を変えるものでした。 心から尊敬し、信頼していた人でした。

十字架にかけられ、処刑されようとしている私を、遠くの方で見ている悲しそうな Tony の顔が見えました。 その途端、場面が変わって時間がさかのぼりました。 私と Tony は夫婦だったかどうかはわかりませんが、愛し合って一緒に暮らしていました。 私はヒーラーで、毎日、病気の人がたくさん私たちの家を訪れていました。 私たちの暮らしは貧しく、まるで洞穴のような小さな暗い家に住んでいました。 私の元へ来る人たちは貧しい人が多く、私の仕事は収入にはつながらず、ただ忙しい日々を過ごしていました。 ヒーラーとしての私は優秀なヒーラーで、私の元へ来る人の病気は不思議なほど治っていきました。

ある日、私が魔女だと言う評判が立ちました。 「魔法の力でヒーリングをしているのだと、魔力でも使わなければ、あらゆる病気を治すことなどできないと・・・」 それまで、私を信頼し感謝してくれていた人々が、私を恐れるようになりました。 そして、魔女として十字架にかけられることになるのですが、私を魔女だと最初に言った人が、私が愛し一緒に暮らしていた Tony (その当時の名前はわかりませんでした)だったのです。 一緒に暮らしていた Tony が、私を魔女だと言ったことは信憑性があり、皆が信じる結果になりました。

裏切られた怒りではなく、悲しみだけが私を取り巻いていました。 「なぜ?なぜ?」と遠くで処刑される私を見ている Tony に向かって心の中で叫んでいました。 それが、その世での私の最後の瞬間でした。

セラピストが私の魂を呼び戻し、Tony に話しかけるように指示しました。 私の魂は Tony の魂に向かって話しかけます。 Tony は、私たちの暮らしが貧しいこと、私が忙しく二人の時間が持てないことに不満を抱いていました。 悪い評判が立って、私の元に来る患者さんが減れば、私たちの暮らしが変わるのではないかと思ったそうです。 軽い気持ちで「彼女は魔女だ」と言ったのだと、とても悲しそうな顔をして言いました。 悲しみでつぶれそうになっているのは、私ではなく彼の方でした。 その後、彼は罪悪感にさいなまれて、独りぼっちで淋しい人生を送ることになりました。

セラピストが「全てを受け入れ、彼を許すことができますか?」と聞きました。 私は即座に「Yes」と答えました。 セラピストの誘導のもと、私は彼に「憎んではいないこと、今でも愛していること」を伝え、すべてが愛から発生したのだから、もうすでに許されていることを伝えました。 不思議なことに、それまで私の中に渦巻いていた悲しみがすっとなくなりました。

このセッションを受けたあと Tony が変わりました。 それまで、なぜか私に対して壁みたいなものを作って、個人的に接することを避けていた Tony が、その壁を取り払ってくれました (彼は潜在的に持っていた私に対する罪悪感から、個人的に深入りすることを避けていました)。 お互いの信頼感が生まれ、彼の奥さんが私の子供たちの家庭教師をしてくれるようになり、まるで自分の孫のように私の子供たちをかわいがってくれ、私たちは家族のような付き合いをするようになりました。 アトランタと日本に離れて住む今でも、忙しくてメールを出さないでいると心配してメールが来ます。 アメリカに父がいるような感じです。 いつも彼の笑顔を思い浮かべては、苦しい事態を乗り切ることができます。

一方がカルマを断ち切ることで、相手にもその影響が伝わりお互いの関係が変わっていく・・・不思議な体験でしたが紛れもなく事実です。 私の人生を大きく変えた体験でした。

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